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京都府医師会会報 掲載コラム 「ORCA結構使えまっせ」 - 森洋一先生

原稿を書くに当たって、府医の立場で書くのか一会員の立場で書くのか悩みましたが、結果的には、内容が中途半端に両方の立場からということになりそうで、取り敢えず乙訓医師会会員としての名前で投稿することにしました。

まず、最近は多くの医療機関でレセコンが導入されているので、それぞれの先生方には、レセコンについても知識をお持ちと思います。当院では、大手のS社のレセコンを最初に導入し、リースあけに、同社のものにグレードアップしたのですが、その際に、プリンタをけちって、インクジェットにしました。

しかし、このプリンタが余り良くなくて、夜に打ち出しておいて朝に診療所に行くと、紙がかんでしまっていて、プリンタのローラーがインクだらけになっていたりして、トラブル続きとなりました。レーザープリンタに替えようとメーカーに問い合わせたところ、150万とのこと、以前から当社のレセコンを使っていただいておりますので、110万円にサービスさせていただきますと言われて、目が・・・になってしまいました。当時で(平成10年頃)2-30万円も出せばかなり高性能のPC用レーザープリンタが手に入った時代ですので、即お断り、また平成10年の診療報酬改定で、薬剤情報提供料が請求できるようになり、レセコンから薬剤情報が打ち出せるようにしたかったので、平成11年に、医院の移転とともに、レセコンもJ社のものに切り替えました。

価格的にも以前のものよりも安くなり、薬剤情報のプリントアウトもA5サイズでこじんまりとしており、満足しておりました。

また、Windowsマシン上で走るソフトのため、暇なときには、WordやExcelを活用できるため、十分に満足はしていたのですが、改定のたびに、何かと不都合が出てくることが多く、特にMOにバックアップする際にハングアップすることが多く従業員の不満が多くなってきました。また、これは仕方がないことですが、6年前のPCのために、動きがかなり遅くいらいらすることも増えてきておりました。

一方で、平成10年からIT関係の委員会に参加するようになり、ORCAとの関わりが出来てきました。日医では、医療情報ネットワーク推進の端末を普及させるために、日医会員にとって何らかのメリットを情報端末の付加価値とするために、会員にとって不可欠のレセコン機能を付加することにより、医療情報ネットワーク端末の普及をはかろうとしたのです。
日医の委員会で、委員から常に出ていたのは、医療関係や医師会活動で使う汎用ソフトを格安で提供することにより地区医師会、会員のIT化が促進するので、日医で開発をしてゆくべきという声でした。このような声に押されて、当時委員会の担当常任理事であった現在参議院議員の西島先生が、日医主導のレセコン開発を進められたのです。
私も、立場上は、もっと積極的に導入するべき立場にあったといえます。当初から、委員会の先生方の中には、ORCAに関与して開発に多大なる協力をされてきた方もあり、立場上いろいろな方のご意見などはお聞きしていましたが、実情は大変なようで、とても、自院に導入して試験運用する余裕はありませんでした。

また、開発当初は、既にレセコンを更新のため新規に新しい業者のものにしておりましたので、当分は採用を見送りました。実際に、開発当初は使い物にならないとの評判で、府医で開催したITフェアーでも、後数年お待ちになった方がよいのではとお話をしておりました。会員の皆様に勧めるには、人の話だけでは駄目で、自分で使ってみなくてはとの気持ちが強かったので、なるべく早期にORCAの採用に踏み切ろうと考えていましたが、なかなか機会がなかったのですが、ある日、DMで、S社(先のS社とは別の会社です)から、基本セットで120万円相当のORCAシステムが、セール価格100万円でというのが目に入り、値段に目がくらみ、速攻でデモの申し込みを行いました。
早速デモに来ていただきましたが、実は、私は忙しくてデモを見ておりません。何度か立場上デモも見ておりますし、必要ないというのが実情ですが、当院の職員にデモを見ての感想では、多少操作に違いはあるが、それほど使いにくいとの印象はなかったとのことでした。基本的にレセコンは、従業員が使うことになりますので、彼女たちの感覚が一番大切になります。同じメーカーのものを使い続けるとそれほど操作性に違和感はないと思われますが、全く異なる機種になりますので、一番心配だったのは彼女たちの意見でした。

それが、思ったより悪くなかったのと、17年1月で現在のレセコンの再リースが契約満了となるので、ORCA導入に踏み切ることにしました。

気になるお値段と構成内容をご紹介しましょう。昨年の日医雑誌に同封されていた、ORCAのパンフレットでも紹介されていましたのでごらんになった方もおありかと思いますが、内容はほとんど変わりはありません。概ねどのベンダーでも同じような構成と価格になるのではないかと思いますが、念のためご紹介させていただきます。
構成機器
本体 S社オリジナルPC
(pentium・2.8G/512MB/120GB)
118,000円
ディスプレイ
LCD1760V(三菱製17インチ)
80,000円
プリンタ京セラ製 118,000円
プリンタ関連、ネットワーク、メモリ等 112,800円
無停電電源装置 49,800円
バックアップ用HD 18,700円
小 計 491,300円
診察室用ノートPC 220,000円
その他 8,400円
合 計 719,700円
別途費用
インストール・設定費用
(本体とノート端末2台分)
200,000円
インターネット設定・日本語設定・
申請代行費用等
116,000円
短縮コード整備登録料 200,000円
操作指導料(3時間×4) 160,000円
小 計 676,000円
診察室用ノートPC 220,000円
データ移行料 200,000円
総 計 1,595,700円
以上が、セール価格119万という設定でしたので、導入することに決心いたしました。院内に、通信手段やLANの設定がない場合には、ADSLや光ファイバーの導入やルーターLANの設定費用が必要となります。また、端末を必要としない場合や、端末をもっと安いものにすることで価格を抑えることも可能かと思われます。なお、レセコンメーカーでも必要なメンテナンス費用などは、S社の場合には、ソフト保守で12万円/年、ハード保守で 8万円/年が別途必要ですし、後で述べますが、薬剤情報支援のサポート費用が 3万円/年 必要となります。

以上が、導入に必要な費用ですが、個人でORCAを導入される場合には、別途費用の分が節約できることになります。ただ、随分手間はかかるのではないかと思われます。
ご承知のように、ORCAシステムは、PCのOSにLinuxを採用していますので、現時点では、ORCAシステム本体は、レセコンとしての使用しかできません。また、今回のシステムの機器構成にありますように、データのバックアップは、外付けHDに自動的に行われますので、特に手間は不要ですし、レセコンとしての使用と割り切れば、ノートPCの分は不要ですので、その分を除けば、100万円での導入となります(セール後の価格についてはわかりませんので悪しからず)。

また、ノートPCの分は、もっと安いものでも十分使えると思います。本体以外の端末でのORCAの操作が可能となるソフトは、何種類か市販されています。S社では、端末の使用に際しては、「RealVNC」というフリーソフトを使用して本体のORCAをリモート操作しているようです。最近は、こちらの方の情報には疎くなっておりますので、よくご存じの方は、お教えください。

導入時に、当院の既設のLANとの設定で若干問題があったようですが、それほど大きなトラブルではなく、納品後に再度技術者が来院してすぐに設定は上手くいきました。また、端末には、windowsをOSとして使用しているので、端末からの変更などは直接バックアップは出来ないとのことでしたが、少なくとも本体が稼働していないと端末も使用できないので大きな問題ではありません。さて、いよいよ導入となりましたが、9月末には本体は導入されていたのですが、端末のノートPCが納入されなかったので、予定より稼働が少し遅れました。従業員(パートも含めて操作指導を受けるため)を2組に分け、2回づつの講習を受けてもらいました。概ね、操作性についての違和感はなかったようで、誰もが、慣れれば使えるのではないかとの意見でした。ORCAについては、多くの医療機関で既存のレセコンとORCAの併用を数ヶ月以上やっておられます。しかし、ORCA導入に取りかかったのが、8月のお盆明けですので、早くても11月診療分12月請求分からとなります。本当は、9月診療分くらいから導入するのが、内科、小児科系の医療機関では暇な時期なのでよいのではないかと思います。
当院では、最近は種々の事情からいつも暇になっていますので、余り気にもせず、11月から行けるかと従業員に聞きますと、「大丈夫でしょう」との返事でしたので、当院では、大胆にも、両者の併用期間は全く置かずに、16年11月診療分からORCAによるレセコン稼働を開始しました。実際に稼働してというよりは、稼働前からわかっていたことですが、一番の課題は薬剤情報提供書のプリントアウトでした。

多くの先生方がごらんになったり使用されていることが多いと思いますが、A4の用紙に薬剤の見本がカラー印刷された、大きな用紙がORCAの基本的な薬剤情報提供書です。小児科では、水薬や散薬が多く、それも混合して処方しますので、水薬や散薬がそれぞれにカラー印刷されても全く意味がありません。

当院では、薬剤名だけで十分と判断してカラー印刷や薬剤の形態の印刷は不要としたのですが、実際にプリントアウトしてわかったことは、水薬などを分3で処方しても(10mlを分3としても)、そのようにはプリントアウトされず、朝1、昼1、夜1などと入力をしないと分3での表示がされません。

内科で成人を対象に錠剤を処方する場合には有効かも知れませんが、小児科では非常に不便だということがわかりました。また、水薬や散薬で何種類かを混合しますと、A4の用紙が何枚も出てきます。無駄なやり方だと思い、当初から、A5の用紙に、薬剤名と投与量と用法、効能、副作用などが出るような書式に変更を依頼しました。何とかA5サイズにプリントアウト出来るようになったのは、1ヶ月以上たった12月初めからでした。その内容にはやや不満もありますが、まずまず、希望通りのものとなったので現状では満足しております。

あと、小児科では、夜の6時以降は時間外扱いとなりますが、そのあたりの切り替え方、薬剤情報の処方薬剤数が8種類を超えるとA5用紙2枚へのプリントアウトとなり、少し時間がかかること、また、プリンタ絡みのトラブルが時々あるようです。プリンタのトラブルはLinuxのせいかもしれないと思っております。
月初めの集計事務においては、当初、返戻分の記載を行って修正するときに上手く印刷されなかったようですが、ベンダーとのやり取りでうまくいっているようです。しかし、修正のたびに合計しなおすようで、15分位かかってしまいます。ベンダーでも、正直なところは、ORCAがそれほど売れているわけではなく (基金ではORCA採用の医療機関は非常に少ないとのことです)、トラブルへの対応が可能なオペレーターも多くないと思われますが、現在の所は十分に対応していただいているようです。マイナーのヴァージョンアップについては、オンラインですでに一回行われたようですが、こちらの方もうまくいっております。

マニュアルが12月に使いやすいものに改定され日医から送付されてきました。日医の委員会でも、ORCAについては、その使用感の向上に力を入れるように要望しております。なんと言っても、当初は、オープンソースということで、PCに強い先生方が個人的に導入し、いろいろなご意見を活かして開発されてきたわけですが、商業ベースに持ってゆくためには、委員会でも指摘してきましたが、女性(差別的な気持ちは全くありません)従業員が、使いやすいものにしなくてはなりません。日医総研でも、今年と来年にかけてよりレセコンとして使いやすいものにシェープアップすることを目標としています。実際の使用感もまずまずです。

まさに、「ORCA結構つかえまっせ」という状況に入ってきたようです。日医のIT問題検討委員会の委員長としていうのではありませんが、開発から数年を経てようやくORCAは、使えるようになってきたと皆様にお勧めできるようになりました。

レセコンのリース切り替えが間近の先生方には、レセコン更新の選択肢の一つとしてご検討いただければと思います。レセ電算への対応も可能ですし、ORCA対応の電子カルテも沢山出てきています。今年は、府医でも『ORCA普及元年』になってほしいと思っています。
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